コラム – はじめてのMMO

三國志Online

サービス期間:2008年2月29日 – 2010年7月19日
料金:初回購入4515円&月額1575円(税込み)

数か月のベータテストを経て2008年にコーエーからリリースされた三國志シリーズの派生MMORPG。
世界観はその名の通り三國志の世界を題材にしている。
基本的なゲームデザインはオーソドックスなMMORPGで
伝統的なターゲット方式戦闘、6つの役割分けされた職業
(片手:タンク、双手:近距離アタッカー、両手:デバッファー、投射:アーチャー、練丹:ヒーラー、妖術:遠距離アタッカー)があるが、
職業についてはジョブフリー形式を採用しており、武器を持ち替えるだけで職業を変更することができた。
(これによってIDなどでの役割不足などが少なかった)

戦闘はPvEは従来同様棒立ちスキルポチポチゲー。ただしPvPはその限りではない(特に集団戦、後述)
他MMOにはあまりない仕様の一つとして、
「装備強化システム」が初期~中期の頃は存在しなかった
サービス後半に装備強化に相当するシステムが実装されたが、
システム上の限界値まで強化しても上昇する攻撃力などのステータスは装備の基礎攻撃力/防御力の10分の1程度で
装備強化を行わなくても支障はほぼ無かった。
途中まで装備強化システムがなかった理由は三国志Onlineは装備が耐久度を持ち、
使用していくと耐久度が減少し0になると壊れ捨てるしかなくなるという使い捨て仕様だったため。
しかしこの使い捨て仕様によりPvPの装備差がほぼ全員同じになったことでPvPバランスが取れたこと、
装備制作の需要が絶えないため生産コンテンツが栄えたなどのメリットが生まれた。

ゲームUIについては三國志Onlineの右に出るUIを持つMMORPGを未だ見たことがない。
それぐらい評価に値する。
まずUIの調整は黒い砂漠のようにUI調整モードに移行する必要もなく直接D&Dで調整可能。
UI位置のロックも備えている。
チャットウィンドウも三國志Online以降に新規開発されたMMOも顔負けの機能の充実ぶりで、
タブの名前を設定でき、タブをチャットウィンドウより外にD&Dすると分割が可能。
フォントサイズをピクセル単位で設定可能。
チャットログの自動スクロールもON/OFFが可能で、
チャットログの外部出力(TXT or HTML形式)も可能。
挙句の果てにキャラクター名ごとチャット内容をコピー&ペーストが可能。
相手の名前の変換の仕方がわからなくても相手の名前をドラッグして、
Ctrl+Cを押してCtrl+Vを使えば相手と対話できる。
さらに高度なチャットマクロ機能も存在するが、これは説明するとかなり長くなるのでこの場では割愛。
チャットマクロ機能も、既存MMOのようなテキスト1文のみの垂れ流しではなく、
ターゲットした敵の位置・名前・lvなどを参照したりPTメンバー全員に一斉に密談を送ったり
他アクションと連携したりと既存MMOが泣いて謝るレベルの高度な機能だった。

PvPは大きく分けて部曲戦(GvG)と勢力戦(RvR)がある。
部曲戦はその名の通り部曲(ギルド)同士の戦いのため、最大50vs50。
勢力戦は蜀vs魏/蜀vs呉/魏vs呉/魏vs蜀/呉vs蜀/呉vs魏という感じで、
現存オンラインゲームの「大規模同時対戦」を鼻で笑うレベルの最大500vs500の大規模PvPだった。
PvP時にはパーティを組むことで「陣形」というものを設定することができ、
その陣形に沿ったステータス補正を受ける。
さらに設定した陣形ごとに「戦法」というPT専用スキルが使えるようになる。
戦法を発動するには6~7秒の詠唱時間と3人以上のPTメンバーが近くに待機していることが必要だが、
効果は非常に強力である。
どれぐらいかというと戦法を駆使した10人と戦法を駆使しない30人がぶつかって
10人が30人を轢き殺すレベル。
スキル例:
・祝福:PTメンバー全員の移動速度を最大1.5倍
・付与剥奪:指定範囲内の敵全てのバフを削除し削除したバフの分ダメージを与える
・聖なる盾:PTメンバー無敵、攻撃を受けるたび敵にカウンターダメージ
・潜伏移動:最大5分間PTメンバー全員の姿を隠す(黒砂でいうと忍者くのいちのハイドに近い)
・偵察:定期的に周囲にオーラを撒く。隠れている敵にオーラが当たると敵が気絶して現れる
・神の護り:指定したプレイヤーと周囲のプレイヤーの被ダメージが最大50%減少する
・血の渇望:最大5回100%クリティカル
・猛進:移動系デバフ無効化&攻撃力増加
・徒党速化:最大5回詠唱時間0(WT/WZのワイズマンズタイム)

なので三國志Onlineでは数の暴力は通用しないことがある。
(実際廬山という鯖の魏は参戦者が蜀より慢性的に100~200人少ない状態であったにも関わらず連勝を重ねた。)
上記の陣形及び戦法システムの存在により三國志Onlineでの集団戦では前線にとどまることは自殺行為である。
他ゲーのノリでずっと前線でスキルポチポチしてると戦法でフルバフが掛かった敵集団により蒸発する。
戦法が非常に強力であるゆえに戦法の使い方、戦線の押し引きの判断、他PTとの連携が勝敗結果に直結するため、
MMORPGの中でもかなりプレイヤースキルを重視するPvPだった。
背後から油断した敵PT集団に突撃して壊滅させたり、警戒の甘い敵PT集団40~50人を潜伏移動からの奇襲で10人ちょいのプレイヤーで
壊滅させる快感は文にするのは難しく実際に体験したプレイヤーだけが分かる快感である。

(デバッファー職の呉の指揮官の一人。マクロで突撃/退却指示を出したりメンバーから敵指揮官の情報を受け取ったりしている。
また動作も大人数でありながら軽いことが分かるだろう。)

勢力戦の場合、ルールは45分間の制限時間内にどちらかの城の門を破壊するか、
45分経過時点でのポイント(プレイヤーを倒すと増える)が多い方の陣営が勝ちというルール。
勢力戦には投石機(石ぶんなげて敵にAoEダメージ与える)や衝車(門を早く割るために必要)、
砦(プレイヤーの追加リスポ地点になる)、見張り櫓(セントリーガン)などの建造物・兵器を建造することが可能で
それらの建造のためには木材・石材を集める必要がある。
木材・石材は勝手には溜まらず、プレイヤーが指定場所に行って採集をしなければならないため、
戦闘が苦手なプレイヤーや低スペック・低レベルプレイヤーでも資材を採集することで後方支援という形で恒久的に貢献することができる。
ただし建造物・兵器の有り無しでは戦況が変わるうえに物資を採集中に死亡した場合
持っていた資材をすべて失う仕様も相まって、
自軍の戦闘を有利に進めるために敵軍の資材採集中のプレイヤーを狙う伏兵部隊も一定数存在する。
そのため採集地点ではPTを組んで偵察を使って巡回したり、建造物や罠を置いてそれらの妨害部隊への対策をしなければならない。

またユーザーイベントなども豊富で、特に有名だったのは
水鏡村(黒砂でいうオルビア村)で毎週開かれた「水鏡バザー」
物を売りたい/買いたいプレイヤーが水鏡村に集まって、
売りたい側はバザーに備えてIDで獲得したレアアイテムや生産品を用意して
当日露店を開いてその場で販売。
買いたい側は開かれている露店をしらみつぶしに見ていき、掘り出し物があれば購入していくスタンス。
当時の自分は売り手側として常連の存在だったらしく、
「虞商店」と銘打って需要の高い食べ物アイテムやID産のレアアイテムなどをリーズナブルな価格で販売していたようだった。

ゲームクライアントも質が良好であり、動作が当時基準でそこそこきれいな3Dオンラインゲームの割に軽かった。
(当時はCore 2 Duoのデュアルコア、GPUはRadeon HD5000番台、Geforce 400番台がメインストリームの時代)
当時の自分のPCは家族共用PCで
Pentinum M 1.6GHzのシングルコア、512MBメモリ、もちろんオンボの2004年製NECノートという化石スペックでも動作した。
(通常の場合このスペックで動作するだけでもすごい)
サーバーも強固でありラグも少なく、通常はもちろん合戦中も鯖に障害が発生することはほぼ無かった。

悪いところと言えば、全体的にキャラの移動速度が遅め(現在基準)なのでもっさりな狩りであること、
(ただし黒砂ほどレベル上げが重要なゲームではなかったのであまり問題点にはならなかった)
投射(アーチャー)がやや集団戦では不遇だったこと、
エンドコンテンツが大規模戦闘といくつかのIDのみでコンテンツ不足かつ、
2年間のサービスの中で大型アップデート(エリア拡張)が行われたのは1回のみと
開発運営のフットワークが重かったのが問題だと思った。
あとボッチプレイはつらい。ソロ狩りでレベル上げをするのはマゾいので基本的に軍略というモードで任務クリアして経験値稼ぐか、
高レベルの狩場で敵集団を釣って一気に狩る(トレイン)するかの2つの手段が主なレベル上げの方法だった。
(経験者は語る)

2010年5月に突如サービス終了の告知が行われ、2010年7月19日を以てサービス終了となった。
コーエーの専務取締役の後日談曰くサービス終了の直接的な理由は深刻な過疎ではなく、
赤字を慢性的に垂れ流していたことによる運用難であったことから、
月額課金のみというビジネスモデルに限界を感じることになった。
三國志Onlineは商業的には失敗してしまった。
しかし現存しているものを含む他MMOが持っていない500vs500の戦術的な大規模戦闘やUIの利便性など三國志Onlineならではの
利点はこのまま歴史の闇に葬るにはあまりにも勿体ないと思う。
そしてこの三國志Onlineの利点を継承したMMORPGは7年近く経った今も登場していない。
それでも三國志Onlineの元プレイヤーたちは今も三國志Onlineの魅力的な体験を忘れることができず、
復活を夢見て今を生きている
僕もあの頃は中学生のガキだったにも関わらず、
合戦の風景、バザーで客引きをする自分の姿を未だ鮮明に覚えている。

UIとPvPの出来は良かったことから、もし三國志Onlineがそれらを評価してくれる欧米圏へ早い段階で配信できていれば
また結果は少し違ったのかもしれない。

あの頃は良かった。
作業のようなレベル上げを繰り返す必要がなかったし、
装備強化も無かったライト層向けのシステムは時間の無い社会人からは
「気楽にPvPに参加できる」「自分の好きなことだけやれる」
「ほかの人とチャットでまったり話せる」など概ね好評だった。
自分もあの頃が一番人との関わりを感じ
オンラインゲームを楽しんでいたと思う。
というわけでどこか中国企業でもいいので良さを継承した後継作品を
作ってくれませんかね?また商人プレイと500vs500がしたいんです。

PS:

7年近く経った今も三國志Onlineの公式サイトは「サービスを終了しました」状態で現存している
(普通の場合1年もしくはそれ未満でページごと削除されアクセス不能になる)
また最大の攻略サイトも現存している。
興味が出た場合はこちらを参照して詳細なゲームの内容を知ることができる。
http://www.suginami-s.net/game/sangokuonsitu/